おかげ話

『宝満堂・今話』 台風の神さま

『日本昔ばなしのような 宝満堂・今話』 より 

 農業を営むおじいさんのお話です。

 おじいさんは台風がくることをテレビやラジオで知ると、風が吹きはじめた頃、やおら家の外へ出て、お塩とお酒を撒き、「台風の神さま、どうぞ速やかにお通り下さい」とお願いするのだそうです。

 すると台風の神さまは、おじいさんの家の上空をスーッと通り過ぎて下さるので、おじいさんの農地は一度も農作物の被害にあったことがない、と言います。

 この話を聞いて、宝満堂のみんなも真似をしはじめました。

 そのうち、あっちでもこっちでも大勢の人たちが外へ出て「台風の神さま、どうぞ速やかにお通り下さい」と言うようになったら、台風の神さまはどうなさるのでしょうか。